2009年7月7日火曜日

「伊香保風・・」

 万葉集の東歌で、最も多いのが上野国(群馬)の26首、その中で9首は伊香保の地名を含む歌だということです。伊香保とは現在の榛名山一帯を指しており、山と温泉と染料に用いる榛(ハンノキ)で有名で古来より開けた地域でした。伊香保を詠む歌のほとんどは恋の歌で、古代人の大らかさを感じさせます。その1つに次の歌がありました。 
「伊香保風(いかほかぜ) 吹く日 吹かぬ日 ありといへど 吾(あ)が 恋のみし 時無(ときな)かりけり」(現代語訳・・・伊香保から吹いてくる風さえ吹いて来る日もあれば、吹かぬ日もあります。でも私があなたを想う気持ちは四六時中、絶えることはありません)
 聖書には「雅歌」がありますが、ここでも恋の歌「相聞歌」があります。古今東西、変わらない風景です。しかし聖書ではいつの場合でも神が背景にあり、変わらない神の愛を土台として、男女の恋も愛も変わらないということです。
 私たちの人間の気持ちは「時無かりけり」というわけにはいかず、伊香保の風のように「吹く日」も「吹かぬ日」と変転し、最後には全く吹かなくなる場合もあります。それは若い男女だけではなく、往年の夫婦の場合でも同じです。私たちが少しでも長く誠実な愛を持続させるためには、私たちをいつも愛してくださる神の愛を知ることが大切です。
 「永遠の愛をもって、わたしはあなたを愛した。・・・わたしはあなたに、誠実を尽くし続けた。」エレミヤ31:3

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