2009年2月27日金曜日

「ひきこもりの国」から

M・ジューレンジガー著「ひきこもりの国」という本があります。著者は長く日本滞在した米国ジャーナリストです。現在、日本には、約100万人の引きこもりの若者が存在しますが、この「引きこもり」という現象が、現代日本を読み解く鍵であると言います。「ひきこもり」の原因の1つは、若者たちが自由に目覚めながら、自分を確立することができていないということ、また1つは、社会が個人の自由に対して否定的であると言うことです。この典型的出来事は、雅子皇太子妃の「ひきこもり」です。彼女は海外経験を積んだ優秀な女性ですが、皇室に入って間もなく「ひきこもり」の事態に陥っています。皇室は、最も日本的な環境であると言えます。
欧米などでは、キリスト教の伝統があり、人々は絶対的神の前にある自己を覚えながら成長します。そこから、個人の自由/自立と尊厳という価値感が育てられます。また隣国の韓国でも、戦前戦後にキリスト教が浸透して、それによって個人の自由/自立と尊厳が育ち、自発的な市民運動が起こり、それが大きな変革と発展の力となっていると言います。ところが日本では、欧米の技術を輸入しながら、人間形成の根本となる精神については受け入れず、また自らの中からも生み出す力がない状態なのです。
私はこの本を読んでみて、実に、日本の現状について的を射ていると思いました。現代の日本社会は八方塞がりで、そこから抜け出そうと、色々と模索もしています。しかし、一向に打開できていません。やはり解決の糸口は、根元的なところにあるようです。
日本に聖書信仰がもたらされてから、約150年になります。この間、キリスト教信仰は、地道に浸透しました。根のところでは神の前における自由自立の精神が育っていると思われます。しかし、この国の閉塞した精神性から脱却するためには、なお多くのキリスト者が起こされることが必要かと思われます。聖書のみが、絶対的創造者である神と、私たちを無限の愛をもって愛する神の子キリストを啓示するのです。この神のもとで、人は真の自由/自立の心が養われるのです。
今から約100年前にシベリヤ鉄道を通って来日したイギリスの宣教師が、日本の景色のあまりの美しさに感動しながら、「美しい日本。ただキリストだけがあなたを救うことができる。」と詩に書いていますが、私は、現代の状況を見て、この言葉をあらためて思い起こすのです。

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