2009年2月27日金曜日

価値観のパンデミック

先日NHK_ETV特集で、辺見庸氏の話が放送されていました。辺見氏は芥川賞を受賞、極限の「生」における「食」を扱った「もの食う人びと」で講談社ノンフィクション賞を受賞している作家です。現在64才で、脳出血の後遺症と大腸癌と闘いながら、なお活動を続けています。
番組の内容は次のようなものでした。「今、私たちが直面している危機あるいは破局とは何か。金融危機、インフルエンザ、環境問題、自殺者の増大、等々だが、単層ではないらしい。根底にあるのは、人間の価値観におけるパンデミック(感染爆発)ではないか。こんなに価値観が危うくなっている時代はかつてないと思われる。生きて行く意味という面で喪失感が爆発的に広がっている。・・・秋葉原無差別殺傷事件などは、その現れ。」と。
この番組を見ながら、私は身の毛がよだつ思いをしました。他方、それは聖書が示す人間の実相と改めて思いました。ノアの箱舟の時代、バベルの塔の時代、バビロン捕囚の時代、イエスの時代と、聖書は、色々な時代に危機と破局があったことを記録しています。その破局とは、辺見氏の表現を借りると「価値観のパンデミック」です。聖書は、様々なパンデミックを記述しながら、その背後にある人間の原罪を顕わにしようとしています。それは内面の深くに存在する害毒なので、なかなか人は気づかないし、認めることを拒むからです。しかし、人が自らの原罪に気づくときに、破局からの救済も近いのです。
私たちは、キリスト教会は、現代という時代に建てられた「ノアの箱舟」と信じています。箱舟といっても目に見える建造物というのではなく、目に見えないシェルターです。キリストが霊のシェルターとなっているということです。私たちは、ひとりでも多くの人が現代のパンデミックと自らの内にある原罪に気づいて、彼の元に避難するようにと願っています。
 

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