2009年2月27日金曜日

 私たちの中のブラックホール

“ブラックホール”という言葉は、現代版の地獄といった響きを持つようです。先月、インドで16歳の少女が、素粒子加速装置(LHC)を使った「ビッグバン」実験によって、地球が終わりを迎えるとの報道にショックを受けて自殺したそうです。円周27キロのトンネル内で光速に加速した陽子同士を衝突させ、宇宙が誕生した「ビッグバン」直後の状態を再現されたとき、小さなブラックホールが作り出され、地球を飲み込んでしまうとの小さな懸念があるそうですが、少女は、その不安と恐怖に耐えかねたのです。私たちは、そういうことはまずないだろうと高をくくりますが、別のブラックホールが世界に出現しているようです。それは虚無という“心のブラックホール”です。これもまた、大きな恐怖であり、すでに世界を飲み込みつつあります。
虚無というのは、「神はいない」「真理はない」という人間の心のつぶやきが生み出します。「神はいない」とつぶやくとき、一切の真実も、絶対的価値も、人間の尊厳も、生きる意味も、心の中から失われていきます。そして暗黒の怪物のように人々の中にうごめき、凶悪な姿を現します。この怪物は、ある時には、「人を人とも思わない」連続殺人鬼を造り出し、あるときには、「神はいないし、見てはいない」ということで、偽装者たちを出現させます。私たちの国もまた、食物から建築物、経済から政治に至るまですべて偽装に満ちています。確かに、現代は、虚無という心のブラックホールに飲み込まれつつある時代のように思われます。
ミヒャエル・エンデの『はてしない物語(ネバーエンディング ストーリー)』にも、虚無に飲み込まれつつある世界が出てきます。すべてが虚無によって荒廃し、色を失っていく世界です。「葉が色という色を失いぼんやりとくすんだものになっていた」世界です。エンデは、この物語を通して、現代社会が抱えている危機を訴えていたのです。そして、この虚無によって支配されていた世界を救ったのは、真実の愛なのだそうですが、私たちの時代の心のブラックホールも、神の存在と絶対的愛を発見した人によって、克服されていくと信じるのです。
聖書の言葉に「神はそのひとり子を世に遣わし、その方によって私たちに、いのちを得させてくださいました。ここに、神の愛が私たちに示されたのです。」1ヨハネ4:9とありますが、あなたも、この神とその愛を見いだしたとき、心のブラックホールは消え去ることと信じます。どうぞ聖書の中に捜し求めてください。

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